日垣隆『天才のヒラメキを見つけた!』

天才のヒラメキを見つけた! (WAC BUNKO)

天才のヒラメキを見つけた! (WAC BUNKO)

著者は『そして殺人者は野に放たれる』で俺の心を圧倒的に揺さぶったライター・評論家であり、非常に幅広い領域で仕事をしている。その中でも俺が特に注目しているのは、野球のオフシーズンにTBSラジオで放送されている科学対談番組「サイエンス・サイトーク」である。以前この番組の内容を書籍化しようという企画があり、新潮OH!文庫で実際3冊ほど出しているのだが、何と当初「毎月一冊ずつ」出すという企画だったらしく、日垣隆がそのペースについていけないまま、新潮OH!文庫そのものが無くなってしまう――という経緯があった。
で、やっと本書の話題に戻るのだが、本書は新潮OH!文庫で費えた「サイエンス・サイトーク」の書籍化を行った本である。新潮OH!文庫で出された『サイエンス・サイトーク 愛は科学で解けるのか』『サイエンス・サイトーク ウソの科学 騙しの技術』『サイエンス・サイトーク いのちを守る安全学』は、どれも圧倒的なほどの名著であり、俺もこの日記で大絶賛していただけに、このシリーズをまた読めるのは非常に嬉しい。
本書は、日垣隆の「私は天才になれません。しかし、天才は天才になろうとは思わないかもしれず、むしろ凡人は天才から学びうるのではないかと、ある時期から思い直すことにしました」という考えを基盤に、天才的ヒラメキを駆使して活躍されている方やヒラメキに深い関心を寄せている方との対談を収録している。対談相手は羽生善治川島隆太岡野雅行養老孟司畑村洋太郎の5人であり、まさにテーマの「ド真ん中ストレート」である。どれもこれも面白いので、かなりオススメできる。個人的には必読。