『NEON GENESIS EVANGELION vol.08』

NEON GENESIS EVANGELION vol.08 [DVD]

NEON GENESIS EVANGELION vol.08 [DVD]

地球規模の大災害「セカンドインパクト」を経た2015年の地球を舞台に、碇シンジ綾波レイ・アスカといった14歳の少年少女たちが、エヴァと呼ばれる不可解な人型兵器に搭乗して「使徒」と呼ばれる正体不明の敵と戦うアニメ作品『新世紀エヴァンゲリオン(通称エヴァ)』のDVD版。DVD第8巻には以下のエピソードを収録している。

第弐拾伍話 終わる世界 Do you love me?
最終話 世界の中心でアイを叫んだけもの Take care of yourself.

第弐拾四話のことは書いていなかったので、少し書いておくと、24話では「渚カヲル」という5人目のエヴァ適格者が出てくる。何やら陰謀めいた登場の仕方だが、それはネタバレだし面倒なのでここでは書くまい。使者を「シ者」と書いて「渚」、「おわり」を一文字ズラして「カヲル」という言葉遊びの名前の付け方が面白いが、これは本筋ではなく余興の類だろう。
「急に出てきて、思わせぶりなセリフを吐くホモっぽいキャラクター」という何とも変な味付けのキャラクターだったが、シンジ君の方は、アスカもレイもトウジもケンスケもいない中、このカヲル君に大いに惹かれてしまう。しかし実際のところカヲル君は友達どころか○○だった(放送から10年以上も経っているし「今さら」という感じもするが、一応ネタは伏せておく)。シンジとカヲルは大して深い関わりもなく、知り合ってから間もないように見えるのだが、何せシンジの心の拠り所はカヲルしかいなかったため、裏切られたと深く傷つく。で、結局シンジは、エヴァの手で、ブシューッとやってしまうわけだ(一応ここも伏せるが、エヴァをほとんど観たことのない俺ですら知っているのだから、ネタバレも何も、もう常識ですね)。
で、第25話でどうなるのかと思いきや、いきなり過去のシーンの寄せ集めばかり。ストーリーは何にも進まない。最終話も同様に過去のシーンの寄せ集めばかりで、口の動きとセリフが合っていなかったり、口が動いていないのに喋ったり、もうムチャクチャ。最終話の途中からは通称「学園エヴァ」と呼ばれる、シンジとアスカが幼なじみで、両親のゲンドウとユイが仲良く朝ごはんを食べており、食パンをくわえながら「ちこくちこく〜」と走ってくる転校生の綾波レイとシンジがぶつかる――という意味不明すぎる映像が流れる。シンジは、これも可能性なのか、と意味不明な「発見」をして、色んなモノにおめでとうとかありがとうとか言い合って終わる、という何のことやらサッパリ終わらないラストである。
制作サイドやらスポンサーサイドやらと揉めたとか、制作が物理的に間に合わなかったとか、ストーリーを決着させられなかったとか、当時は色々と噂が流れたようで、またファンの間でも議論されたようだ。ひとつ言えるのは、最後の2話は、今までのストーリーとは隔絶されたシンジの内面を描いただけであり、物語がどう決着されたのかは一切わからない、ということである。形而上的な話や突き放した話が好きな人もいるだろうが、普通は、これじゃあ納得できないね。噂は聞いていたので大して期待はしていなかったが、それでもなお「フザケンナ」と言いたくなるほどに酷い出来である。