- 出版社/メーカー: KADOKAWA メディアファクトリー
- 発売日: 2006/01/25
- メディア: DVD
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最終巻となるDVD第12巻には以下のエピソードを収録している。
第二十三幕「エドモン・ダンテス」
第二十四幕「渚にて」
モンテ・クリスト伯爵(エドモン・ダンテス)の復讐劇が貫徹したのかしなかったのか、ここではあえて詳細を書くまい。原作がどうだったのかも(俺は原作を未読なので)よくわからない。本作では、復讐する側でも、直接的に復讐される側でもなく、復讐される側の子どもたちの視点から物語が描かれている。そうすることで、復讐鬼の凄まじさがより引き立ったし、物語の深みも増した。世界は綺麗事だけで成り立っているわけではないし、大人たちは綺麗事だけで生きていけるわけではない。哀しいが、それは事実だ。しかし子供たちを主人公にすることで、魅力的なピカレスクヒーローである伯爵に安易な感情移入をしてしまうことを回避し得ているのは良かった。
マクロ的な見方をすれば、やはり子どもたちは竜巻に巻き込まれ、人生を狂わされたのだろう。しかしそれでもなお、アルベールもユージェニーもマクシミリアンもヴァランティーヌも、それぞれが復讐の竜巻の中で(結果的には)自分らしさを貫き、それぞれが未来へと歩みを進めた(まあフランツは不幸な結果になったが……)。前向きで、かつおざなりでも不自然でもないラストシーンというのは、実は意外に難しいと思う。またドブレーやボーシャンといった軽薄な若手エリートが実はアツい心を持っていたり、ベルッチオやバティスタンやルノーといった物語の根幹には大して関係のないキャラクターにも魅力的なシーンが用意されていたりするなど、脇役を含めてほとんどのキャラクターに魅力や見せ場がある。隅々まで文句なく素晴らしいアニメーションである。
ちなみに、ベッポのラストに思わず笑ってしまったのは俺だけだろうか?