
アメリカを創ったベンチャー・キャピタリスト―夢を支えた35人の軌跡 (Harvard Business School Press)
- 作者: ウダヤングプタ,浜田康行,Udayan Gupta,楡井浩一
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2002/02
- メディア: 単行本
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投資銀行業務ほどすばらしい仕事はない。会社運営の些事にかかわることなく、会長の視線でものごとを眺めていられる。「この会社は気に入った」とか「あそこは気に食わない」などと言って、全能の神になった気分もいくらか味わえる。マーケットの手強さも魅力の一つだ。世の中のありとあらゆること――政治、経済、社会のあり方、世界情勢――がマーケットに反映される。ビジネスにもいろいろあるが、投資銀行は奥が深い。
新規参入組が同じように感じているかどうかは、あやしいところだ。彼らは高収入が得られるということで、ふらふらとこの業界に入ってきたのだろう。若手のなかには投資の醍醐味を愛し、案件の取りまとめや投資にふさわしい思考が遺伝子に組み込まれている者もいる。だが、そうした天性の素質に恵まれた人材は、一定の割合しか存在しない。残りは非常に優秀で、あらゆるテクニックをビジネススクールで教わってきてはいるが、投資業務が好きだからというよりも、金儲けが目的でこの業界にいる連中だ。ビジネススクールの新卒者御一行様は、まずは投資銀行を目指し、次いでベンチャー・キャピタリストに憧れ、お次はLBOファンドをやりたがり、こんどは右へならえでインターネット関連のスタートアップ企業に入りたがっている。
まあ説教くさいところも、こういった重鎮の魅力である。