
- 作者: 大前研一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/11/11
- メディア: 単行本
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なお、本書には大前研一らしいドライな歴史観が何度も登場する。俺は、大前研一の歴史観には必ずしも賛同できないが、それを踏まえても、ロシアとの付き合い方は今後本気で変えていかなければならないと前々から思っている。
例えば、北方領土問題。北方四島については、中国や韓国との領土問題のような、ゴネ得狙いのふざけた領土問題とは一線を画していると個人的には考えており、この問題が未だに解決していないことに対して、政治家には自らの無能を恥じてもらうと同時に、そろそろもう少し現実的な解を考えるべき時期に来ている、と考えている。具体的には、二島返還では日本の世論が納得しない、全島返還はロシアの世論が納得しない、ということであれば、三島返還で交渉するとかね。大前研一の言うような「中立地」にすることも(俺は反対だが)可能性と効果は真剣に検討した方が良いだろう。
もちろん、元々は日本の領土なのだから3つだけ返還されても意味はない、という考えが「正論」なのは俺も理解している。しかし択捉島・国後島・色丹島・歯舞群島の四島が全島返還されたとして、本当に「故郷」として北方四島に戻る人間が果たして何人いるのか、そして北方四島のインフラ整備に一体どれだけのコストがかかるのか、さらに60年間も「故郷」として北方四島に住んできたロシアの人たちをどうすれば良いのか、考えたことはあるのかい――という大間研一の指摘は、冷静かつ謙虚に受け止めるべきである。もちろんロシア人の処遇は実効支配してきたロシアが責任を持って考えるべきだと俺は考えるが、俺が言いたいのは、そこまで含めた議論や提案がなされなければ、今後も北方領土は戻ってこないだろう、ということである。
最後に、本書を読んで初めて知ったのは、ロシアの対日感情がとても良い、ということである。もちろん国家間問題は「好かれているから仲良くしよう」というほど単純な問題ではない。しかし本書を読んで、反日教育や特許侵害や領土強奪に余念のない地理上の隣接国である中国や韓国よりと、近くて遠い国であるロシア、そのどちらが本当の意味で「隣国」として相応しく、また今後関係を強めるべき国なのだろうか――と考え込んでしまったのは、俺だけではあるまい。
ちなみに『チャイナ・インパクト』のときと同じく、映像版も発売しているようだ(詳しくわからないが、これから続編が発売される模様)。






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