高橋ツトム『爆音列島』5巻

爆音列島(5) (アフタヌーンKC)

爆音列島(5) (アフタヌーンKC)

中学校内での喫煙がきっかけで転校した少年(加勢高志・タカシ)が、転校先の仲間と共に暴走族「ZEROS(ゼロス)」に身を投じる――というアウトライン。著者の自伝的な作品で、1980年代の東京・品川区を舞台としている。
警察への任意出頭エピソードの続きが面白い。4巻の終わりで「どうします? つぶしておきますか?」という警察署員の発言があり、なんだろうと思っていたのだが、この言葉の意味が判明する。メンバーの構成などを話せば勘弁してやるという「踏み絵」をチラつかせながら、柔道で汗を流すという名目で、柔道経験者の警官が徹底的に投げ飛ばすのである。ここで根性のない奴は口を割り、暴走族のメンバーとしては終わるのであろう。口を割れば暴走族として潰され、口を割らなければ今ここで柔道の名を借りた制裁で身体的に潰される。大人は汚いねえ。
ただ、ここでタカシは口を割らなかった。そのため、当初は「居たって戦力にならねぇ」「パシリは消えろ」と見下されていた、自分の代のリーダー格の綾瀬から完全に認められる。地味ながら重要なエピソードであろう。なお、綾瀬はかなりのヤクザ顔で、後に本当に組員となる。良い顔してるねえ。怖すぎ。