支倉凍砂『狼と香辛料12』

狼と香辛料〈12〉 (電撃文庫)

狼と香辛料〈12〉 (電撃文庫)

狼の化身である少女(ホロ)と青年行商人(ロレンス)の道中で起こる様々な事件を、軽妙洒脱な掛け合いも散りばめつつ描く「剣も魔法もない」ファンタジー物語であり、中世ヨーロッパ的な世界での経済活動に争いの舞台を置く異色作――とのこと(Wikipediaより)。
ホロとロレンスとコロは、北の地図が描ける銀細工師(フラン・ヴォネリ)に出会うため、8巻と9巻で騒動に巻き込まれた港町ケルーペを再訪する。一行が同じ街を二度訪れたのは初めてで、この物語もけっこう長くなったのだなあという感覚に捉われる。
ストーリーとしては、フラン・ヴォネリに地図を描いてもらう代わりに「天使が舞い降りたという伝説がある村に同行し、その情報を集めること」という条件を提示され、その条件を呑んだところ、フラン・ヴォネリやら村やら自分たちやらの思惑が複雑にぶつかり合う――という形だろうか。ついでに、中世ファンタジーには欠かせない「魔女」騒動にも巻き込まれており、なかなかハッタリが効いていて楽しい。