小川一水『天冥の標Ⅲ アウレーリア一統』

天冥の標 3 アウレーリア一統 (ハヤカワ文庫 JA)

天冥の標 3 アウレーリア一統 (ハヤカワ文庫 JA)

全10巻に及ぶ壮大なSF長編の第三巻。
第三巻の舞台は西暦2310年。小惑星帯を中心に太陽系内に広がった人類の中には、人体改造によって真空に適応した「酸素いらず(アンチ・オックス)」という人々が存在するまでになった。この巻のプロローグは、酸素いらずたちの国・ノイジーラント大主教国で海賊狩りの任にあたる強襲砲艦エスレルの艦長サー・アダムス・アウレーリアが、冥王斑感染者を「閉じ込めた」小惑星エウレカの女性リーダーに、伝説の動力炉ドロテアに繋がる「ドロテア・レポート」の海賊からの奪還を依頼される――という感じだろうか。相変わらず、めっちゃ面白い。
この壮大なSF長編の全体像が少しずつ見えてきた。
第一巻(2803年)は、要はクライマックスまたはクライマックスの一歩か二歩手前で、第二巻(201X年)がこの世界の始まりの物語。で、第三巻(2310年)以降は、第一巻に繋がる象徴的なイベントを語るのであろう。