一色まこと『ピアノの森』11〜13巻

ピアノの森 11 (モーニングKC (1483))  ピアノの森 12 (モーニングKC (1509))  ピアノの森 13 (モーニングKC (1554))
町外れの「ピアノの森」で育った少年カイの物語。はじめは楽譜すら読めないカイが周囲を取り巻く人々によりピアニストとしての才能を開花させていく――Wikipediaの説明をパクったが、こんなところでアウトラインは外していないだろう。

11巻

主人公のカイ(一ノ瀬海)が少年時代のコンクールで出会った「便所姫」こと丸山誉子と再会する。このエピソード自体は面白かったけれど、カイは10巻で「冴ちゃん」と良い感じになっているわけなんだよなあ。カイと便所姫が結ばれるという展開だと思い込んでいたのだが、そうなるわけでもなさそうだ。突然出て来たキャラよりも、少年時代からのキャラと結ばれる方が良いのになあ、と思うのは読者の傲慢だろうか。

12巻

カイの少年時代の親友である雨宮修平が久々に登場する。雨宮は、少年時代からカイの良き友達だったのだが、ピアノ弾きという意味ではライバルである。そして雨宮は、カイの圧倒的なまでの才能に対して強い嫉妬や敗北感を感じている――という設定である。コンクールの舞台から姿を消したカイに、もう登場してほしくないと思う気持ちと、カイに勝たなくては自分の未来はないという気持ちのせめぎ合いの中で、自分を追い込み、留学して猛烈な練習を続けている。この巻で、カイと雨宮は再会を果たすが、雨宮は深い暗がりに迷い込んでいるように見える。才能というのは、根深いテーマだ。

13巻

カイが手に問題を抱えているのでは――というエピソードがある。まあ「ちょっと突き指したけど大した問題じゃないよ」ということで終わったのだが、本当はどうなんだろう。個人的には、より大きな展開に向けた伏線っぽいと感じている。実は大きな問題を抱えていた、みたいなね。