
- 作者: 月子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/09/07
- メディア: コミック
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4巻で強く思ったのは、環くんとさやちゃんの関係に「安定感」のようなものが付加されたことだ。「信頼感」と言い換えても良い。このまま二人は恋人関係を続け、そして結婚していくだろう。二人の恋の物語は(中学生にして)ハッピーエンドを迎えたのだ。
余談
私は本書を読んで二人の関係に「安定感」を感じ取った時、初期のジョージ朝倉の傑作『少年少女ロマンス』を思い出した。
『少年少女ロマンス』は全3巻だが、3巻の前半で本編は一旦完結し、3巻の後半では「少年ロマンス」と「少女ロマンス」という後日譚的な短編が掲載されている。その「少年ロマンス」において、本編で恋敵役に相当する宗一郎は、再度、主役の少年(右京)と少女(蘭)の間に入り込もうとするも簡単に失敗する。右京と蘭は小さな喧嘩を毎日のようにしているのだが、二人の関係は決して壊れない。
右京は「愛とは 信じ合えるかどうかだ」と語る。しかし宗一郎にはその言葉の意味がわからず、夜のベッドで一人「理っ…理解し合っているかどーかだろッ」と反芻する。しかし、そうではない。右京と蘭は、お互い欠点や理解できない振る舞いがあることも理解し、それでもなお、お互いを受け入れた。二人はしなやかで穏やかな信頼関係で結ばれ、次の段階に進んだのだ。
つるザラは、『少年少女ロマンス』とは作品の性質が異なる。少年少女ロマンスは素直になれない気性の激しい登場人物たちが大暴れする物語だ。つるザラのストーリーには、そこまでの大袈裟な事件性はない。けれど、やはり思う。つるザラの環くんとさやちゃんは、お互いを信じ合う、次のステージに進んだのだと。