上野顕太郎『さよならも言わずに』

さよならもいわずに (ビームコミックス)

さよならもいわずに (ビームコミックス)

自分の妻が亡くなったという辛い経験を持つ作者が、その経験を文字通り「切り売り」した作品。妻が亡くなる前、亡くなった時、亡くなった後のことまで、冷静かつ克明に振り返り、マンガ表現を駆使して、その苦悩を表現している。克明さもさることながら、この冷静さがかえって凄みを感じさせ、正気と狂気の境界って一体どこにあるんだろうと否応なく考えさせられた。
賛否両論あるだろうが、文字通り、本人の魂が練り込まれており、圧倒されてしまうことは確かである。