イアン・スチュアート『世界を変えた17の方程式』

世界を変えた17の方程式

世界を変えた17の方程式

文字通り「世界を変えた」と言えるほどの大きな影響を及ぼした17の方程式を取り上げ、それがどのように生まれ、どのような影響を及ぼしたかを語っている本。ラインナップは以下の17である。

  1. カバに乗った女房 ピタゴラスの定理
  2. 手順を短くする 対数
  3. 消えゆく量の亡霊 微積
  4. 世界の体系 ニュートンの重力の法則
  5. 理想世界の兆し マイナス1の平方根
  6. 結び目をめぐる騒ぎ オイラーの多面体の公式
  7. 偶然のパターン 正規分布
  8. 良い振動 波動方程式
  9. さざ波とパルス フーリエ変換
  10. 人類の上昇 ナヴィエ=ストークス方程式
  11. エーテルのなかの波 マクスウェル方程式
  12. 法則と無秩序 熱力学の第2法則
  13. 絶対であるのは1つだけ 相対論
  14. 量子の不気味さ シュレーディンガー方程式
  15. 暗号、通信、コンピュータ 情報理論
  16. 自然のアンバランス カオス理論
  17. ミダスの数式 ブラック=ショールズ方程式

どれもこれも(正確にはナヴィエ=ストークス方程式以外は)一度ぐらいは耳にしたことのある名前だが、まあほとんどわかっておりません。説明は難しくないものの、数学の素養が全然ないと正直ちょっと退屈なところもあるかな。
個人的には「マイナス1の平方根」が気に入った。いわゆる虚数のことなんだけど、(私立文系コースだったからか、それとも単に授業中に寝ていたからか)高校で学んだ記憶が全然ない。こうした「実際には存在しない数」を認めてしまうことで、諸々の説明が上手く行ったり、世界が広がると言うのは、非常に示唆的である。
あとはブラック・ショールズね。この方程式が「世界を変えた」ことは多くの人々が首肯することだろう。これがなければリーマンショックもなかったのだから。素晴らしい方向へ変えたかどうかはわからないけれど……。

余談

『世界を変えた24の方程式』という本もあるらしい。てっきり続編かと思ったら、別の著者(デイナ・マッケンジー)&出版社である。しかも邦訳版が出たのは半年前……モロ被りやん!
世界を変えた24の方程式