- 作者: トビー・ドッジ,山尾大(解説),山岡由美
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2014/07/10
- メディア: 単行本
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サダム・フセインは死に(というか殺され)、アルカイダをめぐる報道も減り、テロとの戦いもイスラムとの戦いもアメリカが勝った……ように、素人目には見える。
しかし本当にそうなのか?
そして本当にそれで良かったのか?
本書を読むと、少なくとも事態はそんなに単純ではないことが浮かび上がってくる。凄く簡単に整理すると、こういうことだ。イラク戦争により、警察国家と独裁政治を展開したフセイン政権を打倒することには成功した。悪の枢軸と目されたフセインは排斥され、処刑された。そしてその代わりに、腐敗政治と、宗教対立と民族対立に根ざした内戦が導入された……。
そのような中でアメリカはイラクから撤退する。イラクと距離を置くオバマ政権に非難の声は上がったが、軍事介入を続けて民主主義が達成されるとは思えない。そもそもアメリカの責任とは何か?
うーん、ここまでイラク問題は複雑化していたんだな。