橋本治『たとえ世界が終わっても その先の日本を生きる君たちへ』

結局、教養主義というものが全面に出ていて、「その先の日本を生きる君たち」に届く本だとは思えなかった。Amazonでの評判は高いんだけど、結局、以前から橋本治を読んでいるインテリが賞賛している傾向が強い。

あと、橋本治が事あるごとに「自分が年寄りであること」を凄く強調するのも正直しっくり来なかった。人間誰しも年を取るわけであり、それ自体は良くも悪くもないのだが、年寄りであるということを常にエクスキューズにしたりネタにしたりしながら話されると、凄くもやっとするんだよな。本というのは書き手の年齢など正直どうでも良いというのがわたしの考えなので、君みたいな若者は知らないだろうけど、社会建設って言葉があったんだよね……みたいな語り口や、まあ私は別にもうすぐ死ぬからどうでも良いんだけど……みたいなテイストを前面に出されると、どうもしっくり来ない。

座談会をそのまま文字化しただけの「話し言葉」というのが、余計に教養臭さや年寄り臭さを感じさせて良くないのかもしれない。