山口周『劣化するオッサン社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか』

一言で書くと、ピーターの法則とパレートの法則を掛け合わせたような考え方である。

ピーターの法則は、以下に詳しく解説している。
incubator.hatenablog.com

簡単に書くと、全ての人間は、自分の能力を超えたところまで昇進する。つまり課長や次長で成果を出せても、部長として成果を出せない人間は、部長で昇進が止まるのである。つまり、あらゆるポストはいずれ職責を果たせない無能な人間によって占められ、仕事は、まだ無能レベルに達していない人間によって行われる、という衝撃的な考え方である。硬直化した組織というのは、結局のところ、ピーターの言う「無能レベルに達した人間」が多いということなのだと思う。

そしてパレートの法則とは、2:8だの2:6:2だのと書かれるが、要するに優秀な人間の割合は僅かであり、集団における多くの人間は平凡もしくは無能な人間だというものだ。なお、ここでの優秀さとは、組織の目指す目標や他メンバーと比較した相対的なものである、という特徴がある。つまり他の会社で優秀とされた人間であっても、Googleで優秀になれるかはわからない。

で、ここで言う「劣化するオッサン」とは、考えることや成長するための努力を止め、過去の成果や因習・上下関係等で仕事をするような人間を指す。つまり年齢や見た目や性別は一義的には関係がない。若いオッサンもいるし、女性のオッサンもいるし、見た目がおじさんでも本書で言うオッサンとは限らない。

これを踏まえ、そうしたオッサンに対抗する術も書かれているのだが、主題は、自分がそのようなオッサンにならないようにするにはどうすれば良いかという処方箋だとわたしは理解した。わたしの周囲でも、成長やチャレンジを諦めた同僚が何人もおり、こうした人には本書を読んでほしいと思った。