門田修平『英語リスニング指導ハンドブック』

英語リスニング指導ハンドブック

英語リスニング指導ハンドブック

『英語語彙指導ハンドブック』『英語リーディング指導ハンドブック』『英語音読指導ハンドブック』『英語スピーキング指導ハンドブック』に続くシリーズ本。本書も、『英語スピーキング指導ハンドブック』と同様、Q&A方式が採用されている。

個人的に「なるほど」と思ったのは、英語力を上げるために、ナチュラルスピードではなくスロースピードで再生した英語音声を聴いても、リスニング力は向上しないというエビデンスだ。その代わり、句や文の境目にポーズをつける/ポーズを長めに取ることで、前段の理解をきちんとすることができ、理解度が上がるらしい。また、例えばリスニング問題で5問設問がある場合、いきなり5問解かせるのではなく、まず2問だけ考えさせて、次は別の2問…のように、学習者のレベルに応じて意識させる要素を限定するのも有効だそうだ。

これはよく考えると納得できる話だ。例えばバッティングセンターで140キロのボールを打てないからと言って、100キロに下げて練習を続けることで140キロが打てるようになるかと問われると、おそらくそんなことはない。ただ、140キロを打つために「今回はストレートだよ」「今回は内角低めだよ」と予めヒントを貰いながら打つことで、体が140キロのボールに慣れてきて、いずれはヒントが少なくなっても対応できる。また、間髪入れずにポンポン投げられても「ただバットを振る」状態になって「今20球投げたうちの7球目の球種とコースは?」と聞かれても多分答えられないだろうが、1球ずつ感覚をしっかり空けて「今から投げるぞ」と満を持して投げる形にすると、「さっきはカーブだったな」「今のはインハイのストレートだな」と、より1球に集中することができる。

なお、Audacityというフリーソフトの使い方も、画面キャプチャを交えながら詳細に解説されている。