坪谷邦生『人材マネジメントの壺 テーマ6. 人材開発:一人ひとりの成長に組織が意志を持っておこなう投資』

元リクルートマネジメントソリューションズの方。個人出版のような形でテーマ別の入門書を7冊も出しており、気になったので順次読んでいる。

第6巻のテーマは人材開発である。相当遠大なテーマということもあり、正直あまり深掘りできていないなと思った。 個人出版のボリュームで、「等級」や「評価」と同じ粒度で深堀りすること自体がそもそも難しいのかもしれない。

しかしリーダーやマネージャーと性格の関係に踏み込む等、ちょっとおもしろい論点があって、これは個人的には気になった。

性格や気質、すなわち広義での人格や人間性は、人材マネジメントに本来ものすごく影響するものだと思うが、今の人材マネジメント論は平等性みたいなものを重視しすぎているのか、後天的に開発可能なコンピテンシーやスキルに偏重したものになっている気がする。でも新規営業や経理にどうしても向かない性格の人がいるのは事実で、これを「会社組織におけるヨコの相性」と仮に定義する。そう考えると、著者の言うように、管理職や経営者にどうしても向かない人材や他人の指示の下で働く労働者がどうしても向かない人材がいる、すなわち「会社組織におけるタテの相性」と性格が関連していると考えるのも自然な発想だと思った。

例えば、著者の言う「社交的で集団の中でも臆せずに自分の意見を主張し、ものの筋を重視しながら、多少のことには動じない」「革新的で思い切った決断をする」タイプが管理職に向いているのは事実だと思う。一方で、ホリエモンなんかは典型的な他人の指示のもとで働けない労働者だね。これは彼の能力ではなく人格そのものに根ざしており、後天的に教え込んでどうにかなるレベルではない。もちろん、これはホリエモンにとって批判ではなく褒め言葉である。