佐藤誠一郎『あなたの小説にはたくらみがない 超実践的創作講座』

文芸新潮で編集を40年やった業界の重鎮らしい。書名の「たくらみ」という言葉を聞くとテクニック論みたいなものを想像する方が多いと思うが、創作論や文章論のようなものはほとんど書かれていない。良くも悪くも心構えとか精神論みたいなのが多く、あえて書くと、うーん、「文芸論」とか「小説論」みたいなワードが近いかも。けど「わしの考える小説とは……」といったニュアンスを終始感じる。茶飲み話というか。酒を飲んでクダをまくじいさんというか。

あと、事例が古いんだよな。宮部みゆき、髙村薫、小池真理子――もちろん宮部みゆきも高村薫も凄いと思うし、面白くて、個人的にもいつかまとめて読もうと思っている。けれど、一昔前って感じ。新しければ良いってものではないし、わたし自身あまり新しい作家のことは知らないが、せめて2000年以降に出てきた作家で話してくれないかな。伊坂幸太郎とか、米澤穂信とか、小川一水とか。