わたしが愛読&最近気になっている医療漫画がまとめて発売されたので、感想もまとめて。
恵三朗+草水敏『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』19巻
病理医というマニアックな領域にフォーカスした漫画だが、もうね、面白すぎて、もう。18巻〜19巻にかけては医療裁判を取り扱ったのだが、これがまたほんと面白い。『SUITS』を観て法律というのは魑魅魍魎が跋扈する血みどろの世界だなと思っていたので、本書の展開も凄く興奮した。敢えて言うと、主人公?ヒロイン?の宮崎が活躍する場がほとんどなかったので、次は活躍させてほしいかな。
ヨンチャン+竹村優作『リエゾン ーこどものこころ診療所ー』2〜3巻
児童精神科という、これまたマニアックな領域にフォーカスした漫画。しかも主人公の新人医師と、主人公のボスである医師の双方が、発達障害という。精神科医療自体が難しい問題を色々と孕んでいるのだが、児童精神科+大人の発達障害というモチーフだから、原作者も作画も色々と胃が重くなってるんじゃないかな。そんな中で良質な漫画を作ってくれていることに、読み手としてはただただ感謝しかない。
エピソード自体はとても丁寧で、読んでいてなるほどと思わせられる。
七海仁+月子『Shrink ~精神科医ヨワイ~』4巻
月子については『つるつるとザラザラの間』を気に入って以来、『彼女とカメラと彼女の季節』『僕の血でよければ』『トンネル抜けたら三宅坂』『最果てにサーカス』と大半の作品を読んできたが、本作でついにブレイクと言うか、描き手の繊細な絵柄や言語感覚にマッチするモチーフに出会えたと思う。原作付きで丁寧なエピソードが紡がれて、本当に面白い。今回のPTSD編も正直……泣いてしまった。わたしにとっては東日本大震災のみならず、阪神・淡路大震災、アメリカ同時多発テロ事件、地下鉄サリン事件も未だにアクチュアリティを喪っていない「今」の事件である。PTSDにはならなかったが、それは「幸い」と言って良いことなのだとわたしは本心で思っている。
4巻の後半から始まったパーソナリティ障害編も、気になるね。個人的にはパーソナリティ障害というのは、障害というのは本人の精神に器質的な障害があるわけではなく、本人の人格的な強い偏りが問題(障害)を引き起こしているという理解なんだけど、精神科医がパーソナリティ障害をどう取り扱っているのかは、実は詳しくは知らない。続きが気になる。
富士屋カツヒト『19番目のカルテ 徳重晃の問診』2巻
- 作者:富士屋カツヒト
- メディア: Kindle版