鳥山明+ドラゴン画廊・リー『DRAGON BALL外伝 転生したらヤムチャだった件』

タイトルの通り異世界転生したらヤムチャだったという、思わず「そう来たかー!」と膝を打ちたくなる設定。

DRAGON BALLという作品は、能力のインフレが進み、地球を舞台としながらも地球人はだんだん強さについていけなくなる。戦闘の主役は、サイヤ人(およびサイヤ人と地球人のハーフ)、ナメック星人、人造人間、魔神(あれは何人だ?)あたりに移っていく。まあ地球人は生粋の戦闘民族ではないため仕方ない面もあるのだが、亀仙人や桃白白やヤジロベーは言うに及ばず、天津飯、ヤムチャ、チャオズあたりも中盤では脱落。最後まで一軍に残ったのはクリリンだったかな。しかしクリリンも最後は戦闘メンバーではなくなっていた。

これら地球人は、完全に戦闘メンバーでなくなる前は、「命がけで戦ったのに相手は傷一つ負うことなく瞬殺される」という雑魚キャラムーブを担当することになり、これがなかなか哀愁を誘う。この歴史を知っている主人公は、栽培マンの自爆攻撃で殺される未来を変えるため、本来ヤムチャがしないはず(主に悟空がやるはず)の修行をする――というアウトライン。

鳥山明の絵柄の再現度がけっこう高く、また設定としても非常に面白い。

若干ネタバレになるが、ここまで努力してもやはりサイヤ人たちには段々と遅れを取るようになるという展開も趣深い。