珈琲『ワンダンス』7巻

吃音に悩む内向的な男子高校生がダンスと出会う漫画。群像劇的な面があるので、色んな人のダンスと向き合うモチベや考え方がわかるが、わたしはやはり主人公が気になる。

彼はダンスという武器で、どこまで行くのか、どこまで行きたいのか?

本作を読んでわかったのは、ダンスは「自分が良い踊りをして満足すればOK」という性質の競技ではないということだ。皆と踊るダンスもあるし、個人でのダンスにおいてもコンテストのようなものもあるし、ストリートでは1対1で戦うわけである。勝つ喜びも大きい代わりに負ける悔しさも大きいだろう。闘争心や自己主張のようなものも必要だ。もっと言うと、ストリートダンスでは観客の盛り上がりというのも非常に重要なわけで、観客を含めた競技と言っても過言ではない。

自分の気持ちをダンスに込められるから楽しい、というベースは主人公の中に在り続けると思う。しかし「自分の気持ちを込めたダンス」の向かう先は自分だけではない。勝負相手であり、観客であり、どこまでも他者である。吃音のため他者との交流に怯えていた主人公が、この後どうダンスと、そして自分と向き合っていくかが問われていくように思う。