山口つばさ『ブルーピリオド』12巻

毎日が楽しいけど何となく満たされなかったリア充が、突如ゲージツの魅力に目覚めて美大受験に挑戦し、現役で東京藝術大学に受かって芸大生になるという、高校から野球を始めた少年が甲子園に出る以上にブッ飛んだ展開の漫画。

この巻は非常に興味深いなと思う。

学外で芸術の活動をするサークルのような、何とも言えない集団(およびその集団のカリスマ的存在の女性)にズブズブと主人公がハマっていくのである。

この手の存在については、わたしは評価も論評もできない。中高年と若者でも見方が違う気もする。危うい気もするが、若者特有の無軌道な危うさとは違う危うさを感じる。でも別にカルトのような先入観で見るのも失礼だし、中小劇団のような熱情と経済的困窮の未来も見えるが、別に集団で協力して何かを作っているわけでもない。こういう存在を何と呼んだら良いんだろう。

わたしなんかは、安定志向じゃないし、メジャーから目を背けてニッチにハマる傾向があるので、こういう集団と出会って一旦気が合ったら、正直もう一気に沼の底まで沈む気がするなー。

本作のストーリー的にはさすがにここで大学を辞めるというのも考えづらいが、こういう集団を本作はどう描くんだろう。続きが凄く気になる。