入江亜季『北北西に曇と往け』6巻

アイスランドの硬質で美しい自然、動物や機械と話ができる特殊能力を持つ主人公たち、魅力的な周囲の人々に、サスペンス風味なストーリー。見どころは凄く多いし、実際とても楽しく読んでいるのだが、結局どんな風に話を展開させたいのかがよくわからない。

ひとつ言えるのは、サイコパス風味な主人公の弟が本作のキーマンであることは疑いようもないが、正直この弟に大した魅力がないということである。主人公がこだわるのは「弟だから」で、肉親であれば「弟だから」以上の理由が不要というのもよくわかる。しかし読み手は、それでは納得できないというのも確かなんだよなあ。