幌山あき『星屑家族』上下巻

ネグレクトなどの虐待、親による教育格差などが行くところまで行き、子供を持つことが免許制になってしまった近未来。この免許性というのが曲者で、単に子供を持てないだけでなく、子供を持つ資格のない欠陥人間であるとのレッテルを貼られてしまうようになる。世間からは白い目で見られるし、採用や出世にも響くことがある。

でもわかるなあ。どれだけ本人的に葛藤があるとしても、子供を虐待している人間とまともに付き合いたいとは思えない。これはディストピアとは思えない……とわたしは直感的には思ったのだが、しかし、ごく一般的な小市民の心情と免許制が結びつき、別に実際に虐待していなくとも、虐待する可能性が高い人間である欠陥人間であるというレッテルに繋がるということか。

そんな世界線の未来で、親のいない子供の一部は特殊な訓練を受け、子供を希望する両親の下に一定期間派遣され、その両親が子を持つ資格があるかどうかを判定する役目を負うようになる。主人公はこの特殊な訓練を受けた子供のうちの一人だが、主人公がある夫婦を訪れたところ、夫側が「失格」の判定をしてほしいと頼む――こんなプロローグである。

読ませるねえ!

後半からラストにかけて想定外の方向に転がったが、それも含めてめちゃくちゃ面白かった。