山田鐘人+アベツカサ『葬送のフリーレン』10巻

魔族である黄金郷のマハトとの戦いが続く。

魔族は人間の言葉を用いるが、所詮は人食いの化け物でしかない。そして魔族は人間を殺して食べることがあまりにも普通のことである。人間がそこらの蚊や蟻を叩いたり踏み潰したりすることに罪悪感を持たないように、悪魔が人間を殺すことに罪悪感など持たない。

それでも黄金郷のマハトは人間に興味を持った。人間のことを知りたいと思った。人間と共存したいと思った。しかしそれはあくまで魔族から見た「知る」であり「共存」である。マハトは数十年もの間、人間に仕えてきたが、それでもなお「仕える」という概念を理解できず、そして「悪意」も「罪悪感」も理解できない――という話は、めちゃくちゃ面白い。我々人間同士でも、わかり合っているという思い込みが真実であるのか、よくよく考えると難しい。