赤坂アカ+横槍メンゴ『【推しの子】』1〜12巻

田舎の勤務医である主人公はいわゆるアイドル好きなのだが、その病院に、自分が好きなアイドルグループのアイドル(15歳)が極秘出産のために入院する――というプロローグ。で、アイドルが苦労しながら出産して、アイドルやその子供を医者という立場で世話するうちにだんだんアイドルと医者の関係が親密になったり、『ばらかもん』や『よつばと!』や『甘々と稲妻』といった子供の可愛さを全面に押し出す漫画になるのかなーと。赤坂アカも横槍メンゴも好きだし実力者だと思っていたのでWebですぐ最初の1話か2話だけ読んだが、今回はまあパスかなーと見送った次第。

……これ、完全に勘違いである。

このあとすぐ、くっそ怒涛の展開が起こる。

  • 主人公(勤務医)はアイドルの出産直前、何者かに殺害される。
  • 主人公は、何とアイドルの双子の子供の片割れとして転生する。双子のもう片方は、主人公が世話していたが死んでしまった難病の少女である。(お互い転生者であることは知っているが、お互いの正体は知らない)
  • 双子はどちらもこのアイドルの熱烈なファンであり、転生できて幸せの絶頂だったわけだが、今度は何とこのアイドルが熱烈なファンに殺される。
  • この母親 兼 アイドルはそもそも交友関係が少なく、また引っ越したばかりでマスコミなどにも住居が全くバレていない状況だったため、本来この熱烈なファンがアイドルの居場所を特定することはできなかった筈。よって、母親 兼 アイドルの居場所を熱烈なファンに教えた輩が芸能界にいる筈で、それは徹底して隠されて誰も知らないアイドルの夫 兼 転生した自分たちの実父なのではないか。そのことに気づいた主人公は、芸能界に関わりを持って犯人 兼 父親を見つけ出し復讐しようとする。

とまあ、これが大体1巻かそこらの展開だ。

わたしはここまで辿り着かず、勝手に壮大な勘違いをして、数年この作品を読むことがなかった。

ただ最近本作はアニメ化されて、何と第1話が90分拡大版という、普通はありえない展開で放送される。それに興味を持ってその90分版の第1話を観て――納得した。なるほど、この第1話は90分である必要がある。90分やらないと、わたしのように本作のことを決定的に勘違いしてしまい「1話切り」をしてしまう可能性があるからだ。事実、わたしも漫画版の冒頭だけを読んで勘違いしてしまったのだから。

アニメの第1話を観て色々と間違っていたことを悟ったわたしは、アニメを観て、漫画も読んでと大忙しだが、これは凄い漫画だ。面白い。それに12巻で既に最終章に突入と、赤坂アカは「かぐや様」と同様、物語を無理に引き伸ばすことをしないのが良い。テンポが良い。

遅れてきたわたしが言うのもおこがましすぎるのだが、大推薦漫画だ。