石山諒『龍とカメレオン』1〜2巻

若くして漫画界のトップに君臨した、漫画愛を具現化したとも言うべき存在。

他人の漫画の絵柄を完璧に真似ることができるが、性格が悪く、目の出ない見習い漫画家。

突然だが、頭をぶつけたことで、「龍」と「カメレオン」とも言うべき2人の体と精神が入れ替わってしまう。そしてカメレオンは「これ幸い」とばかり(そもそも原理が不明なので元に戻る方法も不明なのだが)元に戻ることを拒否して、成功した漫画家のステータスを奪い取ろうとする。

一方、カメレオンの体に移った龍は、自身の才能が一度切りのマグレではないことを証明するために、またカメレオンに改心?してもらうために、このカメレオンの境遇で再度漫画家として圧倒的に成功してやろうとする――といった、入れ替わり漫画家漫画である。

漫画家漫画は、難しくて、でも成功した作品はめちゃくちゃアツいという印象がある。一番は『G戦場ヘヴンズドア』か。G戦に近い印象がある。

個人的に面白いのは、龍の体や境遇を則ったカメレオンが、この恵まれた境遇を守るために2巻で変化を遂げる点だ。元々このカメレオンのコピー能力は「絵柄だけ」だった。これも十分に凄すぎるのだが、龍が書き溜めて金庫にしまっていた漫画ノウハウを(龍に教えられて)読み、龍の漫画の方法論や、龍の才能そのものをコピーし始めている。ウザい人間だが、方法論や才能そのものをコピーしたら、オリジナルの意味とは何なのだろう? この漫画は、めちゃくちゃ面白いところに上り詰めようとしていると思う。