『イカゲーム』シーズン1@Netflix

全9話。

世界的大ヒットを飛ばしている韓国のネトフリオリジナルドラマ。

所見としては、まず確かに面白い。その上で感じたのは2点。

ひとつは、日本の作品を物凄く研究しているのではないかということ。

このジャンルは……一般的には何と呼ぶのだろう。世界的には『Cube』や『Saw』といった脱出ゲームに近いのだが、プレイヤー同士の心理戦や直接対決があったりするイメージで、実は日本ではこの手の漫画やアニメはめちゃくちゃ多く、傑作も多数ある。

例えば、定職につかず博打ばかりしているクズや、騙されて借金を背負うようになった弱者が、一発逆転の最後の手段として文字通り危ない橋を渡る。この展開はまさしく『カイジ』を彷彿とさせる。経済的弱者が必死に足掻く様をVIPが観戦して楽しむという構図も『カイジ』だ。

最後の一人になるまで勝ち残ることで賞金を得られる点や、運営側の顔が見えないというのは、『バトル・ロワイアル』を彷彿とさせる。

毎回のチャレンジがゲームで、そのゲームに負けると死ぬ点や、時には友達同士で戦わねばならない点は、同じくネトフリオリジナルドラマ(元は漫画)である『今際の国のアリス』と同じだ。(余談だが、わたしは今際の国のアリスの影響を感じ取っていたため、味方同士で戦う衝撃の展開については、2人1組を選ぶ段階で予測できていた)

イカゲームの運営サイドの印象的なマスクについても、運営が顔を隠す設定はあったような気がするんだよなあ。思い出せない。なお、『天空侵犯』では「敵」が仮面で顔を隠すという設定だ。

この辺、かなり日本の先行作品を研究しているのではないかという印象を持った。

もうひとつは、とはいえ韓国らしいストーリー展開ということ。

このあとネタバレなので、未視聴の方は「韓国っぽい展開なんだー」と楽しみにしたまま閉じてください。

良いですか、このあとマジでネタバレしますよ。

以下ネタバレ(マジで最後まで見た人向けの「あー」という話なのでよろしくお願いします)

韓国というと、儒教の国だからか何だか知らんが、血筋だの同郷だのといった話が多いイメージがある。

かなり驚いたのは、決勝(第6ゲーム)が同郷の幼馴染と主人公のタイマンだったことだ。

ヒロインすら、第5ゲームを勝ち抜いたのに「その時の怪我」で若干乱暴にフェードアウトさせ、幼馴染との対決にフォーカス。

日本やアメリカが作ると、絶対こうはなるまい。例えばアメリカの場合、決勝の相手はまずもって「巨悪」になるから、(若干小物じみているが)チンピラの豚野郎が相手になるだろう。また必ず(そして若干唐突でも)ラブロマンス的なものがある筈だ。加えて、ヒロインが大したドラマもなく脱落なんてありえないから、そもそも怪我してないかもしれないし、怪我を押して決勝に出たとしても(主人公だけでなく)主人公とヒロインの2人が勝ち残って、2人で愛の素晴らしさを称え合うことになるだろう。

日本でも大筋は似たような展開だろうが、日本の場合、例えばパキスタンの純朴な青年が実は二面性を秘めていて、第4ゲームで幼馴染を更に卑劣な手で撃破! 主人公やヒロインのヘイトを一気に集めて決勝に上り詰めるという展開も考えられる。そしていずれにせよ、主人公とヒロインはめでたく勝ち残って2人で人生のやり直しを誓うのだ。

ね、同郷の幼馴染にフォーカスを当てたのは、かなり特殊というか新鮮でしょう?

早くも第2シーズンが決まったのも嬉しい。楽しみだ。