インキュベ日記

書評2800冊・漫画評4400冊・DVD評400枚の「質より量」な記録サイト(稀に質も重視)

西田大『英語はメンタルで決まる』

英語力はメンタルで決まる?自分が変わる英語学習のコツ26

英語力はメンタルで決まる?自分が変わる英語学習のコツ26

英語は「量より質」は間違いで、「質より量」である。量をこなせば必ず話せるようになるし、まず量ありきなのだが、その量を上手く成果に繋げていくためには質も必要だ……というロジックで勉強法を整理している。

個人的には、凄く納得感が高い。英語のハウツー本ばかり買ってはならないという指摘もそのとおり。まさにわたしがそうなのだが、そんなものを買って読んでいる暇があったらそもそもの勉強をしろよというね。おっしゃるとおりです。

全体的に良い本だと思う。

なお、今は(社会人の立場からすると)TOEIC全盛時代だが、実は学生にとっては英検全盛時代でもある。英検の資格取得が大学入試や大学の単位に影響するとあって、昔以上に学生による英検の受験者が多いらしい。しかし準1級や1級になると大学生や社会人が大半を占めるそうだ。英検は、問題の質が非常に高い上、安い値段で面接試験まで受けられるので、力試しに持ってこいということのようだ。試験を受けるメリットもよくわかった。

安田剛助『じけんじゃけん!』3巻

じけんじゃけん! 3 (ヤングアニマルコミックス)

じけんじゃけん! 3 (ヤングアニマルコミックス)

広島のとある高校のミステリ研究同好会を舞台としたミステリ×日常コメディ漫画。

ミステリマニアな先輩(♀)と、先輩が好きなのでミステリ研究同好会に入った主人公(♂)、主人公が好きなのでミステリ研究同好会に入った女の子(♀)、先輩が好きで日本にまで来てミステリ研究同好会に入った留学生(♀)と、結局のところミステリが本当に好きなのは部長である先輩だけである。しかも全員どこか抜けている。そんな4人が広島弁でミステリ談義や日常会話をするという、ここはもう天国か!? というユートピア世界が本書である。

めっちゃ気に入ってます。4巻まだかなー。

サラマンダ『ゴブリンはもう十分に強い』1巻

ゴブリンはもう十分に強い(1) (電撃コミックスNEXT)

ゴブリンはもう十分に強い(1) (電撃コミックスNEXT)

ゴブリンなんだけどレベル999みたいな最強モンスター、という設定のギャグというかコメディというか。

最近、なろう系に代表される異世界ファンタジーが凄く多く、こういうひねった設定がむしろ「当たり前」というか「ありきたり」なんだよね。そこそこ面白かったんだけど、2巻はどうするかな。というか、Amazonでおすすめとか新刊のベスト100とかに入ってこないと、2巻が発売したことすら気づかないかもしれない。

浜田よしかづ『つぐもも』20巻

つぐもも(20) (アクションコミックス(月刊アクション))

つぐもも(20) (アクションコミックス(月刊アクション))

面白いんだけど、ちょっと展開が遅いかなあ。

遅いというか、脇道に逸れている気がする。

正直、脇役同士の戦いとかどうでも良いんですよ。

早くヒロインを復活させてくれないと。

豊田悠『パパと親父のウチご飯』7巻

パパと親父のウチご飯 7巻 (バンチコミックス)

パパと親父のウチご飯 7巻 (バンチコミックス)

離婚したパパとその息子、実は自分の子供を産んでいた元彼女から子供を預けられた親父とその娘……という組み合わせ。だからパパと息子と親父と娘なんですね、ええ。

何とも複雑っつーかこれはBL好きな腐女子が云々。

閑話休題。

まあこれはもう安定株というか。進路の悩みや家族のいざこざから、果ては人類全体の高尚な問題まで、世の中の料理漫画では大半が料理で解決できます。これもご多分に漏れず、子育てをしていけば、色々な問題が起こってくるわけだが、その都度まあ料理して何とかしてしまうという。そんな馬鹿なという感じだが、それでいて読んじゃうのは、やっぱり面白いからだろうね。

桑原太矩『空挺ドラゴンズ』3巻

空挺ドラゴンズ(3) (アフタヌーンコミックス)

空挺ドラゴンズ(3) (アフタヌーンコミックス)

「ドラゴン」なるものが生きているファンタジーな世界で、ドラゴンを狩るために飛空艇で世界中を旅する人々を描いた漫画。

ナウシカ! って感じだね。

3巻も相変わらず面白い。この作品はおすすめ。

incubator.hatenablog.com
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小川哲『ユートロニカのこちら側』

ユートロニカのこちら側 (ハヤカワ文庫JA)

ユートロニカのこちら側 (ハヤカワ文庫JA)

昨日読んだ『世界の涯ての夏』と同じく、ハヤカワの何とかという新人賞を受賞した作品のようだ。

『世界の涯ての夏』には作者のインタビューが載っていたのだが、本書には東浩紀・小川一水・神林長平の選評が載っていた。インタビューはともかく選評は載せなくて良いだろう。今まさに読んだ本を、売り手が「小粒だ」とか「つまらん」とか書いているのはどうかと思う。興醒めする。それに別の本の選評も興味ないし。

内容?

内容はまあまあです。

情報社会が進展して、生体情報が売り買いされる近未来が舞台である。モンスター企業が街そのものを買い取って、そこに住む人を「テスター」のような形にして募集をかける。審査が通り、そこで暮らす資格を得た人は、食べたものから移動した距離や場所、おしっこやうんこの情報まで、全ての生体情報が企業に収集される。その代わり、高級マンションに住めて、働かなくても暮らせるだけのお金をもらうことができるし、その気があるならさらに働いてお金を増やすこともできる。要はプライバシーを全面的に明け渡す代わりに便益を得るということなのだが、これは正直、SFと言えるかどうか。なぜなら、ここで描かれている社会は既に半分以上2018年現在でも実現されているからだ。バンドをはめて健康情報を収集され、検索履歴やアクセス履歴や位置情報をGoogleその他に収集され、購入履歴はAmazonに収集されている。交通機関の利用情報やSuicaの利用情報はマーケティング情報として既に企業に売買されている……これを生体情報の売買と言わずして何というのだろう。

本書に出てくる「情報等級」という概念もまた然り。要は、海外に行ったりせずに生体情報をきちんと提供してくれる人や、生体情報の提供に批判的な思想を持ったり行動したりしない人は、情報等級が高くなり、得られる収入が増えたりするのだが、これも既に半分以上が既に実現されている。例えば、急ブレーキや急発進など、いわゆる「運転の荒い人」を運転履歴で見分け、格付けし、運転のスムーズな人は事故率も低いだろうというので月々の保険料が少なくなるという自動車保険がある。また、企業が収集・判定した生体情報を基に健康年齢を判定し、健康年齢が若ければ病気になる可能性も低いよねと言うので月々の保険料が変わる保険なども発売される見込みである。これも、情報等級の仕組みや、情報等級を前提とした生体情報の明け渡しそのものである。

まとめよう。内容を「まあまあ」と書いたのは、本書の世界観は確かにリアルなのだが、リアルすぎてSF的な想像力・創造力があまり足りていないというか、現実と地続き過ぎてジャンプが足りないとわたしは思う。下手したら5年後か10年後には実現されているような未来で「SF」と言われても、ちょっとスケールが小さくないかと思ってしまう。