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インキュベ日記

書評2700冊・漫画評4000冊・DVD評400枚の「質より量」な記録サイト(稀に質も重視)

小路啓之『メタラブ』2〜3巻

manga

相手の心を読める(正確に言うと相手の望みが文字としてわかってしまう)主人公(男)と、わかりやすすぎるぐらい自分の気持ちがダダ漏れな現彼女、そして例外的に主人公が心を読むことができないミステリアスな女性……という三角関係の漫画なのかなと思ったが、2巻からは結構ドッタンバッタンな迷走を続け、3巻で唐突気味に完結。

なんじゃそりゃ。

打ち切りだったら同情するが、これが予定通りなら、(設定作りの上手さの割に)お話作りが下手だとしか言いようがない。

白井貴子『こいいじ』5巻

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こいいじ(5) (Kissコミックス)

こいいじ(5) (Kissコミックス)

白井貴子の作品はどれも結構好きなんだが、これはサッパリだなー。

一般的な「作品としての質」は高いのかもしれないが……。

とっくにふられて、それどころか相手は結婚して子供まで生まれているのに、相手の奥さんが亡くなったことで、自分にもまだ可能性があるんじゃないかと延々アプローチを続ける。追いかけ、追いつめ、相手の子供も傷つける。

それでいて主人公は、被害者面、不幸なヒロイン面。

ふられてしまった恋にすがりつくのは楽なんだよね。向こうも罪悪感あるからそれ以上は厳しくできないし。

最後は主人公と相手が結ばれるんだろうなという予感があるのだが、それはおかしいと思う。

長谷敏司『My Humanity』

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My Humanity

My Humanity

『あなたのための物語』で極私的SFトップランカーに躍り出た長谷敏司の短編集。

特に最初の2つが凄い。「地には豊穣」では、『あなたのための物語』でも登場した「疑似神経制御言語ITP」による個々人のパーソナルな経験や嗜好の伝達が描かれ、またそうした技術と人間のアイデンティティの源泉とみなされる文化的背景の関係を掘り下げている。また「allo, toi, toi」では、生粋のロリコン(小児性愛者)で子供を殺してしまい投獄された主人公に対してITP技術が用いられる。どちらも、技術とアイデンティティのせめぎ合いが何とも言えない読後感を生んでいる。

オススメ。

ジェームズ・C・コリンズ+ジェリー・I・ポラス『ビジョナリー・カンパニー』

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ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

ビジネスパーソンやMBAの学生にとっての定番にして、ビジョンを語る際の基本書。一流企業と、時代を超えて何十年何百年と繁栄するビジョナリー・カンパニーの違いを炙り出した本と書いて、概ね間違いはないだろう。その違いも、詳しくは本書を読んでいただくのが確実だが、ビジョンに自覚的で、かつ利益ではなくビジョンを最大の行動原則にしている企業が「ビジョナリー・カンパニー」の要件と言えそうだ。

何はともあれ以下を引用しておきたい。

収益力は、会社が存在するために必要な条件であり、もっと重要な目的を達成するための手段だが、多くのビジョナリー・カンパニーにとって、それ自体が目的ではない。利益とは、人間の体にとっての酸素や食料や水や血液のようなものだ。人生の目的ではないが、それがなければ生きられない。

なお個人的には、メルクのエピソードが気に入っている。本書を最初に読んだときは毎日のように「とにかくカネ」と言われていたため、ことさら響いた。

 メルクが「糸状虫症」治療薬「メクチザン」を開発し、無料で提供した(略)
メルクがこの決定を下した理由を聞かれたとき、バジェロスCEOは、このプロジェクトを進めなかったら、メルクの科学者、「人々の生命を維持し、生活を改善している仕事をしている」と自負する企業で働く科学者の士気が低下していただろうと指摘している。そして、こう語った。
 十五年前、日本をはじめて訪れたとき、日本のビジネス関係者に、第二次世界大戦後、日本にストレプトマイシンを持ち込んだのはメルクで、その結果、蔓延していた結核がなくなったと言われた。これは事実だ。当社はこれで利益をあげていない。しかし、今日、メルクが日本でアメリカ系製薬会社の最大手であるのは、偶然ではない。長い目で見ると〔こうした行為の〕結果は、必ずしもはっきりとは表れないが、なんらかの形で必ず報いられると思っている。

『キス&ネバークライ』1〜2巻

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キス&ネバークライ(1) (Kissコミックス)

キス&ネバークライ(1) (Kissコミックス)

キス&ネバークライ(2) (Kissコミックス)

キス&ネバークライ(2) (Kissコミックス)

最近バレエや競技ダンスといったダンス漫画を読み漁っているが、こちらはアイス・ダンス。

フィギュアというと競技性を高めたソロの方が人気だが、どうせ素人には回転数ぐらいしかフィギュアの凄さを推し量ることなどできないわけで、それならもっとアイス・ダンスが人気になっても良いのになあと思ったりもする。

なお本作は、純粋なスポーツ漫画というよりは、恋愛要素やサスペンス要素が色々と混ざり合った「少女漫画っぽいね」というアプローチ。面白かったし続きも気になるが、今のところアイス・ダンスという競技そのものの魅力がグワーッと伝わってくるほどではないかなあ。

曽田正人『昴』1巻

manga

昴(1) (ビッグコミックス)

昴(1) (ビッグコミックス)

ジョージ朝倉の『ダンス・ダンス・ダンスール』を読んでダンス漫画の可能性を感じ、「ダンス漫画読み漁り祭」を極私的に開催中。

これまで『BUTTER!!!』『ダンス・ダンス・ダンスール』『背筋をピン!と』『ダンス・ダンス・ダンスール』『絢爛たるグランドセーヌ』と様々なタイプのダンス漫画を読んできたが、これは主人公が孤高の天才肌というところで、他とは違う。クラシックバレエというのは元来、かなり幼い頃から始める必要があるし、金も必要、才能(体格や柔軟性)も必要ということで、境遇を含め、かなり恵まれた人間でなければ続けられない競技であろう。

Cuvie『絢爛たるグランドセーヌ』1巻

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絢爛たるグランドセーヌ 1 (チャンピオンREDコミックス)

絢爛たるグランドセーヌ 1 (チャンピオンREDコミックス)

Cuvieというと、質は高いが後味アッサリなエロ本を大量生産している作家というイメージがあるのだが、この人はバレエ経験のある女性だそうで、かなりオタク度とエロ度の高いチャンピオンREDという雑誌にも関わらず、超本格派なクラシックバレエ漫画を描いてくれている。

これもまた面白いなー。