東京喰種トーキョーグール:re[quest] (ジャンプジェイブックスDIGITAL)
- 作者: 石田スイ,十和田シン
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2017/01/19
- メディア: Kindle版
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というかノベライズを担当する十和田シンという人は、本作やNARUTOのノベライズなどが主な実績のようだが、読んでいて文章に「違和感」が全然ない。この人のオリジナルも読んでみたい。
東京喰種トーキョーグール:re[quest] (ジャンプジェイブックスDIGITAL)
というかノベライズを担当する十和田シンという人は、本作やNARUTOのノベライズなどが主な実績のようだが、読んでいて文章に「違和感」が全然ない。この人のオリジナルも読んでみたい。
スパイ活動と言っても大袈裟なものではない。これは公衆トイレといった社会インフラや会社組織・工場などのあらゆるところで小さなミスや非効率を発生させ、意思決定や効率的な経済活動を邪魔していくという「草の根運動」的なスパイ活動である。そしてそれを一言で書くと「サボタージュ(怠業)」という訳である。
もちろん草の根運動と言ってもスパイ活動の手引きであることには変わりがなく、長年秘密文書とされていたのだが、2000年代に入って一般の人でもこのサボタージュ・マニュアルを読めるようになった。そして一部の英語の読める日本人の間で「これは日本の官僚組織そのものではないか」と話題になり、ブログ等で紹介され、話題になったのである。
「規則を隅々まで適用せよ」「重要な仕事をするときには会議を開け」「細かな様式や言葉尻にこだわれ」「一度決まったことでも蒸し返せ」などなど……うーむ、このあたりは何度読んでも唸ってしまう。組織を効率的に回すための「手段」であったはずのルールやプロセスを、それ自体の遵守を「目的」化させることで、組織はここまで破壊されるのだと。
筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法
面白い!
ここまで振り切ってしまうと、もはやコメディーになるな。
でも筋トレが最強ソリューションであるというのは、事実だという気もする。
運動しよう……。
デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論―潜在能力を活かせない「日本病」の正体と処方箋
日本が発展してきたのは、日本人が優秀だったからでも勤勉だったからでもなく、単に人口が多い国であったからである。また戦後日本の驚異的な復興・成長を支えたのは、生産性ではなく、単にベビーブームによる人口増加の恩恵と、円ドルの為替の恩恵である……一言で書くと、著者の主張は「人口」と「為替」に集約される。
なかなか衝撃的な展開だが、正直、日本人の労働生産性が高いというのは(生産性の定義にもよるが)どうにも嘘くさいし、あながち間違ったことは言っていないだろうと思った。
しかし人口と為替に完全に集約してしまうと、別に過去の日本を美化するつもりは全然ないのだが、果たしてそれだけなのかという思いもある。人口が増えて貨幣価値が強くなる国はアジア・アフリカを中心に多くあるわけだが、全てが日本のように経済大国の仲間入りをしているわけではないからだ。まあ時間とともにいずれはそうなるのかもしれないし、別に日本人だからと言って日本の過去を特別視するつもりはない。
続編なんだが、テーマ的には要件定義の前に読むべき本。要は業務やデータのプロセス設計をきちんとしましょうという本で、個人的には『はじめよう!要件定義』ほどの切れ味はなかったが、わかりやすくまとまっていて頭の整理になった。
普通は体系的なインプットの参考書を読んで、問題集をやって、最後に過去問を解いて……という発想に行きがちだが、本書のアプローチはそれとは対極である。すなわち、まず過去問の問題と解説を何度も何度も読む。答えを覚え込むぐらい何度も読んでもわからないものについてインプットする。ざっくり言うと、こういう流れである。
これでは当然、100点は取れない。網羅的に勉強していないのだから……。
でもそれで良いではないか。試験の点数は合格点に達すればそれで良く、100点は不要である。試験のためだけに勉強するのは不毛だという声もあるが、そもそも試験は合格するためにやるものであって、ちゃんとした勉強は合格した後で良いではないか……これが本書に通底する発想だ。
わたしは資格の類をほとんど全く持っていないのだが、確かにこういう割り切りが出来る人は強いと思う。
それでも町は廻っている 公式ガイドブック廻覧板 (ヤングキングコミックス)
[まとめ買い] それでも町は廻っている(ヤングキングコミックス)
はっきり言って素晴らしい。
この手の本は、毒にも薬にもならない作者インタビュー、アシスタントや顔見知りの漫画家からの一言、読者なら当然知っている設定の復習、販促用のPOPに描いたイラスト等の蔵出し、みたいな「ほんっとうにファングッズだね」としか言いようのないものも多い。しかし本書は、一話ごとの作者の解説、(時系列シャッフルの本作らしい)エピソードごとの年表、単行本化を見送ったエピソードの掲載等々、詰め込めるものを全て詰め込んだという感じがする。出版社の想像を超えて売れたようで、(発売日前に予約していたのに)Amazonでもリアル書店でも、発売後1ヶ月以上は品切れが続いていた。
それ町は終わったが、このガイドブックがあれば、これから何年も飽きずに楽しめそうな気がする。
まずは作者の次回作に期待、かな。
前日は学術的なエビデンスを踏まえて、元気に、活動的になるエッセンスが紹介されていた。
一方、今日の本は「眠り」と「覚醒(眠らないこと)」についての様々なエッセンスが紹介されている。特に参考になったのは、「睡眠の質は、最初の90分のノンレム睡眠で決まる」ということだ。疲れているときはついつい長く寝ようとする訳だが、結局のところ、最初の90分で深く眠れているかどうかで、睡眠の質の多くが決定されるとのことである。また、自分が普段から眠っている1〜2時間前は、実は「眠りづらい時間帯」であり、明日は1時間早く起きたいという時に(同じ睡眠時間を確保しようとして)1時間早く眠ろうとするのはあまり上手く行かない、それなら普段通りの時間に眠り、1時間短い睡眠時間でスッキリ起きてしまうというTIPSも参考になった。これも最初の90分ということを理解していればスッと腑に落ちるTIPSだ。
幾つかあるが、要は「身体が先で、考えるのは後!」というのが、わたしが感じた代表的な知見である。例えば、(ヤル気が出てから何かをするのではなく)とにかくまずやり始めることでヤル気が出てくる、笑顔を作ることでストレスが軽減されて元気になる、楽しい動きをすることで楽しくなる、背筋をピン!と伸ばし胸を張って生活することで積極性が増してストレスホルモンが減る、動作にかけ声をかける……このあたりは典型的であろう。他にも、罵り言葉を言ったり別れた彼女のFacebookを見たりすることで、攻撃的になったり気質がくよくよしたりする、というのもある。
振る舞いというのは重要なんだね。
色々なことが色々な表現で書かれているが、わたしなりの理解も含めて、すごくシンプルに書く。
怒りという感情ないし行為は、反射ではない。膝を金槌でコンコンされて自分の思いとは無意識に足がピクンと跳ね上がるような類のものではない。脊髄反射のように怒る人がいるが、それでも何らかの「怒りの事象」があって、それを自覚的・無自覚的の差はあれど「事象に対して、これは怒りに値するという認識や価値判断」をした上で、「怒るという行為」に及んでいるわけである。
これらを理解した上で、わたしたちが「怒り」をコントロールしようとしたとき、まず我々が「怒りの事象」そのものを完全に防ぐのは困難である。部下がミスをすること、後輩が生意気な口を聞くこと、友達だと思っていた人間が裏切ること……これらは普段の行いによってある程度防ぐことはできるものの、絶対に防げるわけではない。そうすると、怒りのコントロールというのは、二番目の「事象に対する認識や価値判断」を変えるか、三番目の「怒るという行為」を変えるのが現実的である。
二番目については、思わず怒ってしまうような事象を目の当たりにしても、一度「認知」を変える努力をしてみるということだ。例えば、部下がヘマをした時、相手がクソ無能だからこんな事象が起こったのだと瞬間湯沸かし器のように怒らず、自分の指示出しが悪かったのではないか、普段の育成が甘かったのではないかと、自責の心で冷静に見つめてみる。もちろん難しいのだが、冷静になれば、感情的に怒ることは逆に難しい。
三番目については、怒りの感情そのものを抑えられなくとも、それを表に出さない/出づらいようにする。怒鳴り散らすのではなく、静かに怒る。相手を罵倒するのではなく、君のおかげで自分ががっかりしたという言い方で怒る。皆の前で怒るのではなく、一度トイレにでも行って誰もいないところで怒る。
わたしは以前、会社で受けた部下マネジメント研修の一環でアンガーマネジメントの解説を受けたことがあるのだが、その際に産業医だか精神科医だかの人が教えてくれた「怒りの感情を抑制するアイデア」が「なるほど!」と思ったので紹介しておく。
方法は簡単で、あらかじめ自分の子供やペットの写真を携帯電話の画像フォルダの中に入れておき(スマホがなければ財布や名刺入れの中でも良い)、怒りの感情が起こった瞬間に、トイレにでも駆け込んで(最悪その場でも良いだろう)、その写真をしばらく(10秒とか20秒とか)見つめるようにするというものである。そのときに、子供やペットと接していたときの幸せな感情を必死で思い出そうとするとともに、ここで怒鳴り散らしてパワハラ認定されるリスクに思いを馳せる。そうすれば、どんなに怒っている人でも、今から「部下のため」だとか言って感情を爆発させることが非情に馬鹿らしくなるそうである。
もちろんわたしのように独身の場合は、友達や彼氏彼女の写真でも良いだろうし、年老いた親の写真でも良いだろう。要するに「自分は誰のために金を稼いでいるのか」「自分は職場以外にどんなコミュニティを持っているのか」を思い出し、自分の人生は会社の中だけで完結しているわけではないことを思い出す、ということなのだろう。
自分のように根無し草のその場しのぎの人生だと、そういう「自分」以外の大切なものをもっとしっかり作っておくことが重要なのだなと思い知らされるよね。『嫌われる勇気』の続編である『幸せになる勇気』でも、結局のところ、自分の人生が「わたし」から「わたしたち」になることが、全ての悩みからの解放なのである、と言っていた気がする。
incubator.hatenablog.com
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つぐもも18.5 公式ガイドブック (アクションコミックス(月刊アクション))
何十年と続いている漫画ではないため、あえてガイドブックが必要というほどではないが、インタビューやランキング企画もあってファングッズとしては面白い。
名前はカッコイイ。ヌッスバウマーて。
今回気になった(というかポチった)のは以下の3冊。
どれもハードSFではない。センチメンタルな感じ。
また、パッと見た感じではあまり難解な感じもしなかった。わたしは基本的に(学生時代のごく一時期を除いて)あまり難解なものは好まない。グレッグ・イーガンは「別の物理法則」とやらに支配された宇宙を創り出すなど、ゴリゴリのハードなのだが、そこまで行かれると「作者と読者の勝負」って感じがして、もっと気楽に本を読みたいわたしとしては食指が伸びない。もう少し暇になったらそういう本も読んでみたいとは思うけれどね。
面白い!
今更ながら、この人の作品を色々と読んでみようかなという気になった。
なお、わたしのドラッグに関する知識は、アッパー系という気分を高揚させるものの代表格がコカイン、ダウナー系という気分をふにゃーっとさせるものが大麻(マリファナ)とヘロイン、あとアヘンはケシの実から作られ、大麻は文字通り麻ですね、という程度の知識しかなかった。しかし本書では、アヘンを生成することでヘロインが作られ、そこからさらにモルヒネが作られることなども説明されている。
ちなみにヘロインはドラッグの中でもトップクラスに危険なブツだとされているが、あっさりとアヘンにハマってジャンキー化していく著者の様子を読んで、ヘロインの原料たるアヘンもなかなかに危険なんだなーと認識を新たにした。アヘンは昔からある、いわば未精製のドラッグだということで、もちろん危険には違いないが、相対的にはそこまで危険なドラッグではないんじゃないかと思っていた自分がいた。しかし相対論なんて正直ほとんど意味がない。やれば、遅かれ早かれジャンキーになる。それがドラッグなのだろう。つまり依存性や毒性ということであれば、タバコやアルコールもそこそこ酷いドラッグというわけだ。筋トレでもして脳内麻薬を出しているぐらいが良いんだろうな。
駆け出しマネジャーの成長論 7つの挑戦課題を「科学」する (中公新書ラクレ)
具体的に新任マネージャーが取り組むべき挑戦課題は7つ。
部下育成・政治交渉・プレマネバランスあたりは、わたしも日々迷っているというか、試行錯誤しているところがある。例えばプレマネバランス、これはプレーヤーとマネージャーのバランスということを指す。今時の会社は「マネージャー」と言っても大半がプレイングマネージャーである。しかもわたしはコンサルタントだ。コンサルタントというのは、たとえマネージャーになっても「プロジェクトマネージャー」や「現場マネージャー」は単なる管理職を意味しない。よりハイレベルな問題解決や課題推進を求められるという意味で、どこまでもプレイングマネージャーと言って良い。しかしマネージャーになると社内の仕事が増える。しかも猛烈に。そのバランスというのは結構大変なのである。
なお著者である中原淳も30代後半となり大学で管理職的なことをやらされており云々……という記述が頻発するが、こういう学者と企業人では「マネージャー」といってもその性質が全く違うような気がして、特に著者との連帯意識のようなものは感じない。あと、著者のこれまでのコンセプトと重複するところがあり(内省の話とか)、内容への新鮮さもあまり感じない。それを除けば、かなり良い本だと思う。