ポール・ストラザーン『90分でわかるデカルト』

この90分でわかる哲学者シリーズは本当に面白い。わかりやすいし、手軽だし、薄いし、文体も俺の好みだし、言うことないさね。いやマジで。

デカルトもほかの哲学者に負けず、哲学をわかりやすく書き記してくれている。デカルトは、ディナーパーティーでの話だと仮定して、話しかけるように、そしてそんな席でも通用するほど平易な言葉で書き記したのだそうだ。素晴らしい。難解であれば高尚な文章だという俗説(あるいは軽い文章が低俗な文章だという俗説)も存在するが、難しいことを難しく語るのは、専門分野の知識があれば誰でもできることである。相手に伝わるということを考えて表現に気を配らないのであれば、表現者としては怠慢である。勝手に1人で思索に耽るだけならばそれでも構わないが、デカルトはそうではなく、誰かに耳を傾けて欲しいと思っていたのだ。「語る」のであれば、相手に「伝える」ことも考えねばなるまい。