柄谷行人+坂本龍一+村上龍+浅田彰+山城むつみ+NAM学生『NAM生成』

本書は『NAM原理』の続編なので、まずそちらを読んでからの方が良いと思う。『NAM原理』を踏まえて今日のこの文章も書く。

incubator.hatenablog.com

本書の前に書かれた『NAM原理』はNAM理念についての言説が主だった。「選挙+くじ引き」という手法は画期的だったし、既存とは異なる「LETS」という貨幣概念の可能性も示唆してくれた。けれど、それだけで資本や国家の対抗になり得るかどうかは疑問だった。「もっと具体的には他に何をするの?」と思わざるを得なかったが、その疑問に対して本書『NAM生成』は“一歩”踏み込んでいると思う。また本書は一般向けの講演を幾つか収録することで、『NAM原理』以降の、NAMの現時点での到達点が見えるようになっている。

例えば『NAM原理』の時点よりもはるかに具体的に構想が進んでいると思われるのが、NAMのフリースクール構想である。NAM構想のフリースクールにはかなり興味があるし、俺も通ってみたいと単純に思ってしまう。戦後の日本思想を(良くも悪くも?)圧倒的な力で引っ張る柄谷行人や浅田彰、世界の坂本龍一が、果たしてどのような教育に対する回答を提示してくれるのか、興味がない方がおかしいではないか。逆に言えば、このフリースクールで失望させられるようなことがあれば、いくら理念だ何だと言っても、後世まで残る対抗運動は組織し得ないだろう。

「LETS」の話は……さて、長くなったので、また今度にでも(笑)