関満博『現場主義の知的生産法』

まだ新刊ということもあって、わりと多くの本屋で平積みされている。その書名の通り、現場に足を運び続けることで理論屋には生み出せない「現実」の持つダイナミズムを捉え、新たなモノを生み出していこう――といった内容の本。扉部分に書いてある要約と帯の推薦文も引用しておく。

現場には常に「発見」がある! 国内五〇〇〇向上、海外一〇〇〇工場を踏査した“歩く経済学者”が、現場調査の勘どころを初めて明かす。実際に行ったモンゴル二週間四〇社調査をケースに、海外調査のルートづくり、インタビューの要諦、調査結果のまとめ方など、その全プロセスを公開する。調査が終わったらとにかく早く形にする、整理はしない、現場は刈り取るだけではなく育てるもの、等々、IT時代だからこそ心に染みる、超アナログ知的生産のすべて。

日本各地やアジアの工場集積をすさまじいフィールド調査で調べつくしている関満博の、研究調査ノウハウを簡潔にまとめたすごい本。
とにかく現場に足を運べ。何年も通え。一生つきあう覚悟を決めろ。手軽なアンケートに頼った、コンサルタントどもの安易な「現場」調査なんか無意味だ――
ぼくにとってえらく耳の痛い本だ。(山形浩生)

一言で言って、めちゃくちゃ面白い本だと思う。大学時代、俺は理論と悪戦苦闘するばかりで実証的な研究を軽視していた面が強かった。そのことを今は恥じてい……るほどではないが、正しかったともあまり思っていない。山形浩生ではないが、俺もこの本は反省的に何度も読み返さなければならないな。