スガ秀美+渡部直己『それでも作家になりたい人のためのブックガイド』

著者の「スガ」は「糸圭」を一文字で書く、なかなか珍しい名前。いきなりだが帯を引用しておく。

吉本ばなな、村上春樹から中上健次まで、代表的な文学作品を実例に、書き出し・会話の書き方、新人賞の取り方まで、いま文壇がもっとも恐れている批評家コンビが徹底的に面倒を見る、愛と残酷さに満ちた小説特訓講座。

さしあたり、これだけで内容の紹介は十分だろう。本書では、多くの小説を引用しながら、「書き出し」「主人公の設定」といった小説を作る上での注意点を具体的に述べられている。その前後には良くも悪くも冗長で毒舌な2人の対談が載り、最後には小説家になるなら必読の小説が紹介されている。

ただ「ブックガイド」と銘打っているように、豊富な具体例が挙げられてはいるが、それほど突っ込んだ議論がなされているところは少ない。というのも、本書は「初級編」だそうなのだ。また、(2人共であるが)特にスガは、品がなく、非常に口が悪い。評論家として力はあるのかもしれないが、少なくとも読んでいてあまり気持ちの良いものではない。これを「痛快」と捉える人だっているだろうし、毒舌の効果を十分に理解した上で毒舌に励んでいるんだろうが。