白石一文『僕のなかの壊れていない部分』

ハードカバーの小説は滅多に買わないのだが、梅田のジュンク堂でプッシュされ続けていたので購入してみた。主人公は異常に記憶力が良く、昔読んだ本の一節もスラスラ出てくる。「何やねんコイツは!あ〜あ〜、ご都合主義のインテリ主人公だよ」と思いながら読んでいたのだが、それは実は伏線で、なぜ記憶力が良いのかが、主人公の人物像と絡め、必然性を持って示される。基本的にはつまらないが、そこは面白いと思った。