本川達雄『ゾウの時間 ネズミの時間――サイズの生物学』

現代文のテキストや入試問題ではあまりにも有名な本。本書の内容を簡単に言えば「動物の体のサイズが違えば、時間の間隔も違う」ということであろうか。さらに言えば、動物のサイズが違えば速度やら寿命やらも異なってくる。つまり動物のサイズから生物を再検討しようとする試みが本書である。

やはり本書の白眉は、サイズと時間との関係を論じた第1章と、サイズと進化との関係を論じた第2章であろう。しかし第6章や第9章などもかなり面白い。ちなみに第6章は「車輪のメカニズムを用いた動物がなぜ存在しないのか」「スクリューのメカニズムを用いた水中生物がなぜ存在しないのか」といった興味深いことをサイズやエネルギー効率の観点から述べている。第9章は、昆虫とサイズとの関係について述べている。