加藤昌治『考具』

博報堂で企画の仕事をしている著者が、アイデアや企画を「考えるための道具」を紹介した本。だから「考具」である。

本書の著者のスタンスを乱暴にまとめると、アイデアや企画を生み出すには質よりも量が大事で、量をこなすことでセンスも磨かれるし良い企画も生まれる――といった感じだろうか。だから紹介されている考具も「アウトプットの量を増やすための考具」や「出されたアイデアを組み合わせるための考具」が多い。誰でも知っている考具から聞いたことのない考具まで色々と紹介されているので、気になる考具が1つくらいは見つかるんじゃないかと思う。俺は、その時々で色(別に形や音でも良い)を決めて生活することで、普段は見落としてしまうようなアイデアを見つける「カラーバス」、9つに区切られた正方形のセルに連想したものを書き入れる「マンダラート」、左上から右下に向けて順番に書いていく従来のノート記述法ではなくて、中心にテーマや見出しを書いて放射状にノートを記述していく「マインドマップ」なんかが、なかなか面白いと思った。

ちなみにマインドマップは、アイデアや企画を生み出す時だけじゃなくて、普段のノートテイキングにも有用かなと思った。少なくとも俺は、書いたノートを何度も読み返すことはかなり少ない。ノートを書く意義とは、書くことで覚えられるということ、(表などを活用してテキストよりもシンプルにまとめることができた場合)パラパラめくる程度で復習したり思い出したりできること、この2つだと思う。実際、丁寧にノートをとって得したことなど俺はほとんどない。覚えまくろうと思って英語の単語帳や社会のサブノートを丁寧に作ったは良いが、完成した時には既に覚えていて、ほとんど見直さなかった――という経験を持つ人は多いんじゃなかろうか。それなら、マインドマップの手法で放射状に思いつくままノートを記述することで、(いちいちノートの左上から懇切丁寧に書く場合と比べて乱雑に思えても)ノートの意義を果たせると思う。それにマインドマップのアプローチを使うと、書く時間や読み返す時間が短縮されそうな気がする。ということで、今度マインドマップについての本を図書館で探してみようかな。