- 作者: 荒俣宏
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2005/07/05
- メディア: 文庫
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しかし本書ではさらに考えを進め、そもそも「歌枕にうたわれた土地は実在しない」という大胆な考えに至っている。詳細は本書に譲るが、歌人や俳人が一体どのように歌を詠んでいたのかを本書と共に丁寧に紐解いていけば、確かにそれは特段に奇抜な考え方ではないような気もする。つまり本書は、実在しない名所や旧跡を訪れる旅なのである。
形容矛盾とも思える荒俣宏の行為は、幻想と現実が入り交じった、何かしら不思議な趣をまとう。歴史や和歌に詳しくない俺には、正直に言ってマニアックすぎて理解できない箇所も多かったが、非常に興味深い内容であることは確かだ。