幸村誠『プラネテス』3巻

プラネテス(3) (モーニング KC)

プラネテス(3) (モーニング KC)

週刊モーニングで不定期連載された、2070年代が舞台のSF漫画。宇宙資源を求めて宇宙に進出した人類は、エネルギー問題や国家間格差・ゴミ問題など、20世紀の経験を生かすことなく同じ愚を繰り返している。それでも今さら宇宙開発をストップすることはできない。主人公のハチマキの仕事はデブリの回収作業(デブリ屋)だ。ハードで危険な仕事だが、宇宙開発のためには絶対に必要な仕事であり、仲間も良い奴らだ。給料も良く、いつか宇宙船を個人所有することを夢見ているが、それでもなお今の給料では宇宙船の個人所有など難しい。宇宙(そら)でも地球(おか)でも、人間の悩みやエゴは変わらない。ハチマキは夢と現実と大義に追い立てられながら生きている――といった設定。
2巻で溺れて死にかかった時に突然「宇宙とは何か」を体感したハチマキは、眩暈のするほどの宇宙の大きさに、逆に混乱してしまう。宇宙とは何か、自分とは何か、といったことを考え続けて自分自身を見失ってしまうのである。ハチマキは最後「タナベに会おう」と決心する。タナベは何かを知っていて、それを表に出すことができる。ハチマキはタナベに会って、それを確かめようとするのである。
世界とは何か、自分とは何か、愛とは何か――あまり3巻では宇宙SFらしい爽快感はないけれど、それでも面白い。ハチマキ(星野八郎太)のオヤジ・星野ゴローが、火星で人類初のホームランを打った話も収録されている。何やかんや含めて必読。