M.バーキン『コーチング選書03 人を動かす50の物語』

人を動かす50の物語 コーチング選書 03

人を動かす50の物語 コーチング選書 03

本書には、ビジネスシーンで引用されて効果を発揮するような50の短い物語が紹介されている。続けて教訓も紹介すべきかどうかはその状況によるし、自分自身の内省に用いられるのに適した物語もあれば、個人やグループに対するコーチングの場で用いられるのに適した物語もあると思う。イソップ物語などの有名な物語もあれば、コーチングのために仕立てられた典型的なエピソードもある。人にもよるが、まあ幾つかは面白いエピソードを見つけることが出来るだろう。
物語などのコンテンツを活用するのはコーチングの最新トレンドだそうだ。もちろんトレンド云々を抜きにしても、ある種の力が物語に存在することは誰もが認めることだろう。本書では物語の効用を以下の5つにまとめている。

効用一 物語は学習効果を高める
効用二 物語は理解を助けるパターンを提供する
効用三 物語は好奇心を刺激する
効用四 物語は感情を揺さぶる
効用五 物語はユーモアと共に情報を伝える

効用五まで読んだところで、実は俺も物語の力を少しは活用していることに気が付いた。俺は、ミスやトラブル・ふざけるなと言いたくなる会社の理不尽な実態に対して、一人で抱え込まず「ネタ」の形で物語に仕立て上げて友人と共有することがよくある。ネタにすることで自分を客観視し、心の安定を得ていたのだが、それは振り返れば物語の力を活用していると言えるだろう。ミスや失敗・理不尽な事象をパターン化して、グループで共有し、怒りや失望をユーモアに転化させた上で教訓とする――関西人のネタ気質も悪くは無い。