黒木亮『アジアの隼(下)』

ベトナムで繰り広げられる国際金融小説。上巻は「事務所開設」のための接待や賄賂に従事していたが、後半はやっと金融ビジネスっぽくなってきた。しかし事務所を開設した後も、賄賂の要求は変わらない。というかベトナムってそんなに賄賂社会だったのか。あるいは作者の個人的な恨み(と言って大げさなら偏り)もあるのかもしれない。

『トップ・レフト』も本作『アジアの隼』も、典型的なヒールが出てきて、ヒロインが出てくる。ディティールにリアリティがあって面白いんだが、物語の構成は似通ってるなあ。そういう小説の作り方をしていくのだろうか。