- 作者: 日経連出版部
- 出版社/メーカー: 日本経団連出版
- 発売日: 1998/07
- メディア: 単行本
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三洋電機は経営不振による規模縮小、JTBは持株会社制(ホールディングス)への移行、ベネッセは教育事業への選択と集中、IBMはthinkpadの売却に代表されるビジネスドメインの大幅な見直し、松下電器産業は事業部制の撤廃とパナソニックへの社名変更――とまあ、俺がすぐわかる事実だけでも、2008年現在と本書の出版された1998年とでは会社の状況は大きく異なっている。隔世の感である。他に調べてみたところ、インテリジェンスは……言うまでもなく分社化やら買収やら、この10年間で色々やっているようだ。HPは横河電機との合弁解消&米HP100%子会社化&アジレント・テクノロジーの分社化&コンパックコンピュータの合併。デンソーと資生堂も、俺が知らないだけで大きな構造変化や環境変化・構造変化を経ているだろう。
それにマクロ情勢も本書の発売された1998年と2008年現在では全く異なる。1998年と言えば、陳腐で申し訳ないが「失われた10年」の真っ只中である。その後、ネットバブルだの日本の株価回復だの構造改革だのアメリカの住宅バブル(とその崩壊あるいは歪みとしてのサブプライム問題)だのライブドア問題だの村上ファンド問題だの中国バブルだのインドITバブルだのWeb2.0だのフリーター&ニートといった現象を経て、やはり日本経済は(連続性はあるのかもしれないが)この10年〜15年で厳密には変質しているというのが俺個人の感覚だ。
「完璧な人事制度など存在しない。完璧な卵焼きというものが存在しないようにね」
村上春樹風に本書の感想を書くならば、こんな感じかな!(台無し)
ちなみに俺が最も時の流れを感じたのは、職業柄だろうか、「コンピテンシー」という言葉が(急いで読んだので、見逃していない限り)1回も出てこなかったことである。わかる人にはわかる。