- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/03/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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私はひたすら、ビジョナリーたちの切れ味の良い言葉を探しては考える、ということをずっと繰り返してきました。日々の仕事での経験にビジョナリーたちの言葉を照射しては、変化の予兆をとらえようとしてきました。これが、今も続けている私の勉強法の核心なのです。
(略)
私は、ビジョナリーたちの言葉の探索を、砂漠での砂金探しになぞらえています。人々が発する膨大な言葉を、私自身の感性のふるいにかけ、最後まで残ったものが文字通り「金言」で、それが私の思考の核となってきました。
この言葉は俺ではなく梅田望夫の感性のふるいにかけられたものであり、そっくりそのまま全ての金言が他人に響くわけではない。しかしいくつかは、やはり刺さるのである――魂に。
おそらく、すべての成功したアントレプレナーは、マイクロマネージャーだ。
でも、あなたが何に集中し、何は放っておき、
どこを別の人たちに任せてその決定権を委ねるか、
そういうことにあなたは賢くならなければならない。――ミッチ・ケイパー
こだわりのない人間と仕事をする部下は不幸である。自分が必死に考えたことについて「良いんじゃない」と簡単にOKを出す人間と仕事をしても、何ら面白くはないし、成長もできない。触発のチカラは偉大である。自分だけで自分の殻を破ることは難しい。ストレッチするには、優秀なマイクロマネージャーと仕事をすることが必要だ。まさに今それを実感しているところである。とはいえ、もちろん他人任せは良くない。良くないが、自分だけで成長できると思うのも傲慢ではないかと俺は感じる。自分が自分だけで考えていると思う、その思考パターンも、言語能力も、語彙も、家族や共同体が教育を施し、先人たちが数億年かけて開発し、またDNAに刻み込んできたものだ……。
よく考えたら、この金言も別に大したことは言っていないんだけどね。当たり前のことというか。でも深く響く言葉とはそういうもので、大半の人々の読み飛ばした言葉が一部の人の魂を揺さぶり、また1年前には読み飛ばした言葉が今日はなぜか心臓に深く突き刺さる――生き方を変える言葉というのは、どこまでも個別具体的だと思うのである。だから俺は、売れまくっている商品や「全米が泣いた」や「100万人が感動の涙」というキャッチコピーに、どうも食指が伸びない。