1434*[book]伊藤守『ひとりでも部下のいる人のための世界一シンプルなマネジメント術 3分間コーチ』

日本でのコーチングの第一人者による新刊。著者曰く、この3分間コーチという形が現在のコーチングの最先端の形態らしい。この3分間コーチには「準備時間や実施時間が短いため業務に支障を及ぼさない」といったメリットもあるけれど、やはり第一のメリットは「コーチングということすら意識させずに業務の流れに沿ってコーチングを行う」という点だろう。その意味では、確かに最も先鋭的な手法かもしれない。業務の相談をしたはずなのに、わざわざ別室に移って「君の人生のプランを聞かせてほしい、そこから考えようじゃないか」などと言うコーチングかぶれの上司にうんざりしている方は、ぜひ1冊買って上司の机に置くべきである。
まあ上司がそこまでコーチングかぶれでなくとも、上司が「君はどうしたい?」などとわざとらしく問い返すたび「あなたコーチングの本を読んだんですね、でも質問に質問で返さないでください」と言いたくなるのをグッとこらえていた俺のようなひねくれた人間には、このような「コーチング」を意識させない手法の方が自然である。
そもそも部下にとっても上司にとっても、効果が上がるのであれば、それがコーチングであろうがなかろうが正直どちらでも良い。手法にこだわり過ぎるのはお子様なのである。その意味で、この3分間コーチという手法は、コーチングが脱皮をする第一歩なのかもしれない。