武田善憲『ロシアの論理 復活した大国は何を目指すか』

ロシアの論理―復活した大国は何を目指すか (中公新書)

ロシアの論理―復活した大国は何を目指すか (中公新書)

現役外交官によるロシア解説書。外交官らしい堅苦しい文体だが、難解というわけではない。むしろ、これ以上ないほど易しく、文字通り「ロシアの論理」を解き明かしてくれている。「中国」「韓国」「北朝鮮」といった隣国ばかりが注目される昨今だが、近くて遠い国・ロシアとの付き合い方こそ本当は重要なのではないか――と漠然と思っていることもあり、たまたま本屋で見つけて買ってみたのだが、非常に面白い本。
目次は以下。

序章 ロシアの見方
第1章 内政 与えられた職務に専念せよ
第2章 外交 多極主義と実利主義
第3章 経済・エネルギー 天然資源による国力増強
第4章 国民生活 「ロシア的」と「西欧的」の両輪
終章 これからのロシア

「内政」「外交」「経済・エネルギー」は、さすが現役外交官というべき鋭さだが、個人的に最も面白かったのは「国民生活」である。ロシアの国民生活を綴った本というのは、これまでほとんど存在しなかったのではないだろうか。実に興味深かった。

余談

ロシアについて記された他の本も読んでみようかなと考え、Amazonで「ロシア」というワードで検索したところ――上位100冊の中に、かなりの数のポルノ本やポルノDVDがヒット。何だか、こういう事実からも日本とロシアの「遠さ」が感じられるな。