本作はいわゆる警察小説である。なので事件が発生して解決する推理ドラマと、警察組織の中でのドラマ、そして主人公の家庭内ドラマ、この3つのドラマが基本的に平行して走ることになる(最初の2つだけのこともある)。しかし本作は他の多くの警察小説と異なる点があり、主人公は警察官と言っても現場の刑事ではなく、キャリアである。警察官僚とも呼ばれる上層部のエリートなのである。さて、ここからはネタバレを含むので簡単に書くが、主人公は元々キャリアであることに大きな誇りと使命感を抱いており、順調に出世もしてきた。だが、自身の信条である「原理原則」にこだわった結果、1巻のラストで大森署の署長という降格人事を受けてしまう。しかし主人公は、独自のキャリア信条に忠実に、たとえ降格されても公のために働き続けるという選択をし、降格人事を受け入れる(通常は皆この時点で辞める)。そして降格先の大森署で、辣腕を振るい始めるのである。
しかし上に書いた基本ストーリーから、第7弾〜第8弾では大きな変化が発生する。
大森署で辣腕を振るった結果、「禊を果たした」との評価を受け、再度キャリア街道を歩むことになるのである。
次は神奈川県警の刑事部長。
警視庁から神奈川県警という差はあれど、神奈川県警の刑事部長はなかなかの大役だ。しかし主人公はあくまでもキャリアとしての本分を意識し、いつも通りに振る舞っている。
面白いなあ。
このペースだと第9弾が読めるのは1〜2年先になるだろうが、正直、半年に1回は続きが読みたい。