村上春樹『猫を棄てる 父親について語るとき』

猫を棄てる 父親について語るとき (文春e-book)

猫を棄てる 父親について語るとき (文春e-book)

子供の頃に父親と海岸に猫を棄てにいったという印象的なエピソードが冒頭で語られるが、捨てた猫は、村上春樹が自宅に戻ったときには既に家にいるという衝撃的な出オチ(笑)

猫については大したことは語られるわけではなく、大半は村上春樹から見た父親についての話であり、父親にとっての戦争の話であるとも言える。

村上春樹が自分の両親の話をこれまでほとんどしてこなかったのはファンにとっては周知の事実であり、その意味ではファングッズと言えるかもしれない。一方、個人的には興味深く読んだものの、あまりにも個人的なエピソードであり、正直読み手を選ぶ……とわたしは思っているのだが、かなり順調なスピードでAmazonのレビューが付いている。単にコロナで暇だからレビューが増えているだけかもしれないけれど。