小川一水『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』

天冥の標シリーズ完結後、初の長編。

人類が宇宙へ広がってから6000年の、辺境の巨大ガス惑星を舞台としたSF。ガス惑星なので当然地表というものはなく、13の都市型宇宙船に分かれて住む人類は、大気を泳ぐ昏魚(ベッシュ)を捕えて暮らしている。一周回ってというか、この星の社会は男はこう、女はこう、といったムラ社会的な価値観にとらわれており、主人公たちはそれに抗っていくという話なのだろう。

小川一水は本当に素晴らしい書き手だと思うのだが、最近ちょっと気になることがあるのは、すぐ性愛に話を持って行きがちであると思う。本作も結局、男と女が結婚してというムラ社会的な価値観に対して、女性2人が百合的な展開をしてイチャイチャして結ばれて終わりという、非常につまんない(と、わたしは思う)展開になっている。

何だろうな、正直、小川一水の本だから最後まで読んだという感じはある。