野口竜司『文系AI人材になる』

本書では、いわゆるコーディング的なことをする人を理系AI人材と呼び、それ以外のことをする人を文系AI人材と呼んでいる。

それ以外のこととは何か?

文字通り、コーディング以外のこと全てである。

企画、データ集め、マーケティング、セールス、実行、運用管理……結構あるなあと思う。

ITだって、狭義のプログラマーを理系IT人材と呼ぶなら、文系IT人材の仕事はもっともっとあるわけである。構想策定、要件定義、テスト、保守・運用、マーケティング、セールス、インフラ構築……インフラエンジニアを文系に寄せるのはどうだろうとか、そもそもこれらを文系IT人材と呼ぶべきか否かとか、細かい話は置いといて、少なくとも狭義のプログラミングスキルを必ずしも必要としないIT人材のお仕事は山ほどある。はてな界隈では狭義のプログラミングスキルがやたらもてはやされているけど、家の設計をするときに大工のスキル(足場を組む、のこぎりで木を切る、釘を打つ、高所で作業する等)は必ずしも必要ではない。

AIも同じだろう、という著者の話にわたしは素直に納得できた。

面白かったのは、本書ではAIを脳の機能に沿って機能別に4タイプ、またAIと人の文章スタイルによって2タイプに分け、その掛け合わせで8種類のAIのタイプに分かれると整理していることである。これはけっこうわかりやすい。

  • 機能別分類
    1. 識別系AI 「見て認識する」
    2. 予測系AI 「考えて予測する」
    3. 会話系AI 「会話する」
    4. 実行系AI 「身体(物体)を動かす」
  • 役割別分類
    1. 代行型 人間ができることをAIが代わりに行う
    2. 拡張型 人間ができないことをAIによってできるようにする

このマトリックスで整理すると、例えば会話系×代行型はチャットボットになるし、実行系×拡張型はドローンになるわけだ(人間は空を飛べない)。またわたしは何年か前に損保会社が(従来はプロが現着して見ていた)事故現場の画像認識をさせるって話を聞いたことがあるけど、これは識別系×代行型になるだろう。

個人的には、わりにおすすめの本。