谷川ニコ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』19巻

通称わたモテ。

似たようなことは既に何度も書いているが、本作は少しずつ作品の立ち位置を変え、極私的には、現在は第3部である。

第1部:友達が一人もいない喪女のボッチ生活
第2部:高校2年の修学旅行をきっかけに主人公のアレな性格にハマるクラスメートが少しずつ発生、けど本人に友達が出来かけている自覚はない
第3部:気がつけば友達が常に周囲に集まり、主人公も何となく友情を良いものだと思い始める

ボッチに友達ができて青春しているところや、この何気なさが青春だと気づきもせず毎日をただ楽しんでいるところが、本当に貴重で、尊い。主人公も今は高3なので、適度に受験勉強もしつつ、泊りがけで遊びに行ったり、逆に友達を家に泊めたりしている。

19巻では、個人的にかなりグッと来たシーンがある。

ヤンキー女(吉田さん)が、他の友達たちや犬が遊んでいるのを見ながら、一足先に卒業した今江先輩と浜辺で話すシーンだ。

文字しか引用できないので伝わらないかもしれないが。

<ヤンキー女>
……あんまよー
やりたいことねーんだ
ただ今が続けばいいとしか思わねーんだよ

<今江先輩>
…じゃあ私と一緒だね

<ヤンキー女>
あぁ?

<今江先輩>
もっと学生続けたいって思ったから
大学生になっただけだもん
あなたや智子ちゃん 色んな人に出会えて 色んなものをもらえて 楽しかったから
もっと続けてたいって思っただけ

<ヤンキー女>
……ふーん
あんたでもそんなもんなんか

<今江先輩>
ふふふ
私でもそんなもんだよ

<ヤンキー女>
少し楽になったわ

<今江先輩>
そう よかった

泣くやろこんなん!(断言)

ま、でもわたしなんて40歳超えても「そんなもん」です。

大人になんてなりたくないし、なるつもりもなくて、今でも好きなことして生きていきたいと思ってるし、実際そうしてる。

このブログだってそうで、20年以上やってるけど、20歳の頃と何も変わってない。ただ好きだからやっている。

でも仕事も「やりたいこと」のひとつで、正確には「やりたくないけどやりたいこと」なんだよな。

20歳当時は、まさか働くことが「やりたくないけどやりたいこと」になるなんて思いもしなかった。

10代の頃は「働いたら負け」だと思ってたし、「働いたら死ぬ」とも思っていた。

上手く言えないけど、人生との折り合いの付け方は色々で、当時の自分にも、ヤンキー女にも、なんかそのこと伝えたいなってわたしは痛切に思った。

でも伝わんないんだろうけどね。伝わったら逆に嫌というか。

だって思春期真っ盛りの高校生がおっさんの意見なんて聞いちゃ駄目だろ。自分で失敗して傷ついて学ばなきゃ。この考えすら伝わってほしくない。

難しいね。すごく色々なことを考えさせられる漫画だ。